次の日、衝撃的なニンニク臭に飛び起きる。
同時に「台湾に来ている感」が湧いてくる。
今日は何を食べようか、何を見ようか。
台湾は毎日が修学旅行気分だ。
ホテルから出ると、隣が宝くじ屋だと言う事に気づく。
昨晩はひげダンスに興じるほど酔って気づかなかったが、
町の随所に宝くじ売り場がある。
友人曰く、日本人がカラオケに行く感覚で、現地の大学生が集まるらしい。
初めてのデートでも、臆することなく彼女と共にスクラッチをする。
日本だと凄い光景だが、台湾では当然の光景とのこと。
写真を撮っている間にも、若い学生たちが購入し、その場で削っていく。
もし1000万当たったら、一気に友人が増える気がする。
「昨晩のご飯、最高だったよ!」
ニンニク臭い口で友人に伝えると
「ここは昨日より、もっと美味しい場所だよ。」と、連れてきてくれた。
…昨日より、もっと美味しい?
とっとこハム太郎の
「明日はもっと楽しくなる。」という名言が頭をよぎった。
これは楽しみだ。
お店は「海南鶏(ガオマンガイ)」
つまりチキンライスのお店だった。
「鶏」の文字が見えた段階で、既に嬉しくなっていたが
実際にチキンライスの名前を聞くと、確信的に嬉しくなった。
現地の人の行列が、また期待感を掻き立ててくれる。
「30分は並ぶよ。」という忠告も
ディズニー○ンドのスタッフに言われている気分で、全然悪くない。
現地のサラリーマンらしき男性が、スクーターに大量のお弁当を乗せ、走り去っていった。
お弁当屋さんとしても、しっかり人気を獲得している様子だ。
中に入れたのは45分後。
「45分じゃんか!」というお決まりのセリフは、あまりに無粋だ。
注文にこぎつけ、素晴らしくシンプルなメニューを眺める。
1号(ご飯&チキン)セットは75元(約250円)。
2号(ご飯&チキン&おかず)セットは95元(約320円)。
当然2号だ。
ここまできて1号なんて、なんの拷問だ。
(*’▽’) こんな顔で待つことにした。
凄まじい速度でチキンライスが完成した。
専用窓口で受け取るのだが、あまりに早すぎて自分の料理である確信がなかった。
「君のだよ。」
そう優しく言ってくれた男性は、マギカまどかのTシャツを着ていた。
チキンライスに付けるタレは、セルフサービスだった。
ネギと共に、見たことのないタレを盛る。
紙皿に取るのが台湾風らしい。
隣のおばちゃんは、タレを日本昔話のご飯くらいに盛っていた。
みんなキャラが際立っている。
実際に近くで見てみると、チキンのほろほろ感がとんでもない。
「旨そうって台湾語でなんていうの?」
そう友人に尋ねた時、
彼の頬はすでに、返事が出来ないレベルにパンパンだった。
負けていられないので、リス2号になった。
すると、一口で分かった。
凄まじい美味しさだ。
柔らかさもそうだが、単純に味が最高に美味しい。
お米も最高、おかずも最良だ。
鶏の脂身を帯びた塩気が、全ての食材を滑らかに美味しくしてくれている。
完全に見た目は悪いが、ネギのタレを混ぜるととても複雑な味わいだ。
疑いもなく人気店だ。
ほのかに味の付いたご飯、ふくよかな卵焼き。
甘みのある脂身、複雑で洗練されたタレ。
食べずらい箸、ぜんぜん効かない空調。
くしゃみで米粒を飛ばす友人、3人前を1人で食べる隣の白人。
すべて最高だ。
なんて楽しいんだろう。
さあ、おなかもいっぱい。大満足だ。
午後からは、賑やかになる前の夜市に行ってみよう。